地域のニーズを「うけとめる」取り組み

社会福祉法人みなと寮の救護施設「千里寮」(吹田市)で取り組まれた就労支援事例を紹介します。

相談・支援の概要

Aさんは法学部卒業で、法律関係の国家資格などは取得しましたが、その資格を活用して就職することはありませんでした。20数年間、就職の経験はゼロで、両親と同居して生活していました。しかし、両親もだんだんと歳をとり高齢になってきたことで、将来の生活への不安が出てきました。

社会福祉施設での就労支援


救護施設「千里寮」(吹田市)

さまざまな支援機関に相談しましたが、すぐに利用できる制度が無く、高齢の両親の支援を行っていた地域包括支援センターから「生活困窮者自立相談支援窓口」に相談がつながりました。Aさんへの支援として「就労経験が乏しいことから中間的就労のような支援付きの雇用形態を経験し、一般就労へ向けていく」という就労訓練をすすめていくという支援方針が決まり、大阪府から「生活困窮者自立支援制度(※)」に基づき、就労訓練事業所として認定されている社会福祉法人みなと寮が運営する救護施設「千里寮」(吹田市)での就労支援がスタートしました。

20数年間ものあいだ、家に引きこもっていたので、まずは決められた時間に一定の場所に通うため、社会福祉施設に電車に乗って通うことからスタートしました。最初は緊張もあり、Aさんからあいさつすることができないことがありましたが、施設職員からの積極的にあいさつをし、声掛けをすることで徐々にできるようになっていきました。施設内の清掃などを行い、3か月を経た段階で、就労訓練に移行し、非雇用型就労訓練を開始しました。


農作業の様子

※「生活困窮者自立支援制度」とは?
生活保護に至る前に、複合的な問題を抱える生活困窮者をワンストップで支援し、働いて自立できることを目指す“新たなセーフティーネット”となる制度。

採用試験に向けた準備をサポート

就労訓練内容は、トイレや洗濯室など共用部分の掃除、軽作業。自己表現、コミュニケーションの訓練なども積み重ねて、1年後には、小中学校用務員採用試験にチャレンジしました。その前に面接の練習や履歴書の書き方、人と話す練習、パソコンの練習など、すれ違ったら大きな声であいさつすることなどを積み重ねて受験に臨みました。

残念ながら、最初のチャレンジでは不合格でしたが、Aさんは次回の受験に向け、意欲を持って取り組んでいます。施設では、Aさんがステップアップできるよう、日常的な求職活動や関連施設への就職の検討、関連機関のネットワークを通じたステップアップ、あるいは協力企業の開発など、Aさんへのサポートを検討しています。

法人紹介


救護施設みなと寮(大阪府河内長野市)

法人名:社会福祉法人 みなと寮(みなとりょう)
所在地:大阪府河内長野市河合寺423番1
電 話:0721-62-3700
ホームページ:http://www.minatoryo.or.jp/
法人設立認可年月:昭和27年5月17日
主な実施事業:救護施設、更生施設、特別養護老人ホーム(地域密着型)、特別養護老人ホーム(介護福祉サービス)、認定生活困窮者就労訓練事業、老人居宅介護等事業(訪問介護)、老人デイサービス事業(通所介護)、老人デイサービス事業(認知症対応型)、老人短期入所事業(短期入所生活介護)、認知症対応型老人共同生活援助事業、介護予防支援事業、地域包括支援センター、認知症初期集中支援推進事業、生活困窮者自立相談支援事業(相談支援)、居住生活サポート事業、生計困難者に対する支援相談事業、(公益)居宅介護支援事業、(公益)生活困窮者就労準備支援事業、(公益)診療所、(公益)大阪市高齢者ケア付住宅生活援助員設置事業、(公益)緊急一時入所事業、(公益)ホームレス居宅定着支援事業


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